2009年05月18日

★Tomocolumn 15「20年目のラブレター」★

fluke.jpg拝啓 ザトウクジラ様
あなたに初めて会った日から、早いものでもう20年もの月日がたってしまいました。忘れもしない、○年5月下旬のあの日、ダイビング帰りの船上で「クジラがいるぞ!」という船長の声。「え!?ク、クジラ??」「ここにぃ??」全く予想もしてなかった出来事にビックリして海を探すと、・・・何もいないじゃないの。あそこと言われても・・・やっぱり何にもいない。ようやく見えたのは、ちょっぴり海の上に出てるだけの黒い物体で、こんもりした島型でもなければ、潮吹きも二またに分かれた噴水型ではない!・・・これが、クジラ?大きさなんて、わからないじゃないの!!
思いがけない出逢いと姿に心底驚き、それが、あなたに興味を持つきっかけでした。
へーえ、マンガに出てくるクジラって、本物とは違うのか!
hwdorsal.jpg目から鱗で、それまで縁がなかったあなたについて、もっと知りたくなったのです。
父島に移り住んでからは、たまのチャンスをつかんでは海に出てあなたを探すけど、今のように数が多くもないし、なかなか見つけることができません。でも、それだけに、会えたときの喜びは格別でした。
最初のシーズン終わりに、ようやく撮った三枚の写真。それは、遠くに小さく小さく写った、あなたのフルークです。連写速度も遅いから、ベストというべきショットは一枚目と二枚目の間だったね、なんて笑いながらも、その写真を撮れたことが嬉しくて嬉しくて、それだけで、その次のシーズンまで幸せでいられました。
次のシーズンには、海の上に突き出したあなたの頭を見ることができました。黒く大きな頭の先にはたくさんのボツボツが付いていて、それもまた、驚きでした。
breach.jpgそのまた次のシーズンで、ようやく、念願のブリーチが見られました。カメラに収まったあなたは水しぶきをまとった白一色で、まるでお化けみたい。でもでも、これが噂のブリーチなのだ、なるほどなんて迫力ある姿かと、感激しきり。その喜びだけで、また、次のシーズンまでずっと、あなたへの思いを大切にしていられたのです。
あの頃、眼にしたあなたの行動のひとつひとつが、なんて貴重で、なんて思い入れがあったことか。
私自身の会いたい思いが高じて、そして他の人にもぜひあなたの魅力を知って欲しくて、そのあと、MAKOTOと共にウォッチングツアーを始めました。それからの毎日は、とにかく、いつでも海に出られてあなたに会えるのが嬉しくて!
hwpec.jpg日差しに輝くあなたの美しさ。立ち上がるブローの儚さ。翻るフルークのしなやかさ。ひらひらと舞う胸ビレの優美さ。潜っていくさまの鮮やかさ。飛沫を上げて争う激しさ。巨体が躍る力強さ。猛スピードで泳ぐ俊敏さ。子に寄り添う優しさ。歌にこもる切なさ。子クジラの愛らしさ。どれもこれもに、惹かれます。
シーズン初めには小笠原に帰ってきてくれたのが嬉しくて、シーズン終わりには去っていくのが淋しくて。あなたがいない間には、思い出を大切に暖めつつ、遠いあなたに思いを馳せて。今頃、あなたはどこでどんなことをしてるのだろう、なんて。
小笠原以外の海にも訪ねていきました。そう、あちこちであなたに会ってますね。アラスカ、カナダ、ボストン、オーストラリア、ドミニカ共和国、南極、トンガなどなど。海域ごとにあなたは異なる姿を見せてくれて、ますます魅力的です。
head.jpgもう20年もあなたのいろいろなさまを見ているのに、全く、あなたに飽きません。むしろ、会うほどにもっと会いたい。もっともっとあなたのいろいろな行動を見たい。
小笠原での近年のツアーでは、昔よりもあなたを見つけやすくなり、あなたからボートに近付いてくれることもしばしばです。お客様の中には、初めてのご乗船で、間近にアクティブな行動をご覧になってしまう方もいらっしゃいます。皆さまそれぞれが異なった印象をもち、ご自分だけの思い出を抱かれることでしょう。あなたへの感嘆の声を聞くたびに、まるで自分を褒められたように嬉しくなってしまう私です。
あなたの棲むこの海で、あなたを思って、私は幸せでいられます。
大好きな大好きなザトウ様、たくさんの喜びを有難う。また会いましょう。敬具
posted by Tomoko at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 20年目のラブレター
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