2009年01月25日

★Tomocolumn14「トンガのクジラ物語」★

palm.jpg9月の研修で行ったのは、南太平洋の島国トンガです。ここに、冬の間、ザトウクジラたちが繁殖のためにやってきます。条件が揃えば、水中でザトウたちをウォッチすることもできます。
もちろん、水中ウォッチはいつでもできるわけではありませんし、いくつものルールも決まってます。一度に海に入れるのは乗客4人とガイドだけ、一つの群れには1時間半まで、一組の親子には一日4グループまで、などなど。海の中でも、クジラを追いかけたり潜ったりするのは禁止です。そっと海に入って、ザトウの邪魔にならないよう、水面からクジラをウォッチします。
出会ったザトウに泳げる確率は、20%くらいでしょうか。入っても、クジラがさっさと行ってしまえばそれきりですが、時には、のんびりしてるザトウをじっくり観察できることもあります。
dorsal.jpg小笠原と同じく繁殖海域のザトウとはいえ、姿や行動はいくらか異なってました。南半球なので、お腹やフルークの裏が真っ白なクジラが多いです。胴の横までペンキを塗ったように白いので、ボート上からも浮上してくるのを見つけやすいです。北半球のザトウより太ってますし、性格も穏やかなよう。メイティング集団でも、小笠原のように雄同士がヒレで叩いたり上にのしかかったりという、激しく争うさまは見ませんでした。
ウォッチを続けていたある日、こんな珍しい光景に出会いました。
ザトウの親子がメイティング集団に追い回されて、引き離されてしまったのです。
母親は集団に追われてどんどん泳いでいき、残された子クジラが、すでに1時間以上もたったひとりでいるとのこと。このままだと親子が一緒になれないかもしれないと、ウォッチングボートが協力してこの親子を合流させることにしたのです。
5隻のボートが集団の前に前にと回り込んで、それ以上沖に走らないように足止めします(通常は、クジラの前を横切る行為は禁止です)。
calf.jpg1隻が、子クジラの横にぴったりくっついて、少しづつ動くようにリードします。
私は足止めするボートのうち1隻に乗っていて、そんなうまくいくのかなと危ぶんでいたのですけど、やがてはるか遠くからボートが私たちに向かってきます。その横には、確かに子クジラのブローが。子クジラったら、のんきにブリーチを繰り返して遊びながらやってくるではないですか。
全ボートが、群れと子クジラを近付かせようと走ってコントロール。やがて、めでたく母親の隣に子クジラが確認できたときは、大きな歓声が上がりました! 
そして、しばらくはこのクジラたちをそっとしておこうと、全てのボートがその群れを離れていったのでした。
さて、この人間の行為が果たしてクジラたちのためになったのかそうでなかったのかは、実はわかりません。
オーストラリアでは、同様に迷子になった子クジラを、結局は安楽死させた例があるそうです。
cc.jpgハワイでは、1時間くらい離れていても、親が戻ってきた例もあるそうです。
もしかしたら、あのあと、集団が、また親子を引き離したかもしれません。
疑問も残りますし、異見もあるでしょうけど、ちょっと考えさせられる貴重な経験でした。
小笠原で同じことが起きたら、どうしようかしら・・・??
たぶん、人情としては、何かせざるを得ない気持ちになるでしょう。うまく行かないかもしれない、もしかしたらクジラにとっては迷惑かもしれない、でも、同様な対処をトライしてみるのではないかしら。
果たして正解は? ヒトは、どこまで自然界のできごとに積極的に関与して良いのでしょうか。
pec.jpg私たちのツアーでも、例えば南島へ上陸したとき、陰陽池で、方向を間違えて海にたどり着けなかった子ガメを見つけることがあります。このままだと、この子ガメはいずれ飢え死にするしかありません。さて、どうしましょう。
管理者の公式見解では、「そのまま放っておくべき」だそうです。人間がタッチすべきではない、ということでしょう。
でもでも、そう聞いてはいても、目の前に水面の藻に絡まってばたばたもがいてる子ガメを見たら、思わず手を差し伸べてしまいます。拾い上げて、扇池へ連れて行って放すのが、ヒトとしては自然の行為かと。
ヒトも自然界の一員であり、すでに何らかのかたちで否応なく互いに関わり合っているのだから、今さら、ここだけ手は出さないっていうのもどんなものでしょうか。
あのトンガの子クジラが、あのあとお母さんに連れられて、無事に南氷洋に辿り着いてるといいなあ。それが、正解を探して試行錯誤しながらも関わっていかざるを得ない、ヒトとしての私の願いです。


posted by Tomoko at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | トンガのクジラ物語
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