2008年10月12日

★Tomocolumn13「外洋域を彩る鯨類」★

madarajp.jpgザトウウォッチングツアーやドルフィンスイムツアーでは父島列島沿岸域を走りますが、近年行われてるマッコウクジラを対象とするツアーでは、父島列島から10キロ以上離れた、水深1000メートルを越える外洋域まで行きます。
そこでは、ときに、沿岸域にはいない珍しい鯨類に会うこともあります。とりわけ初期は、どのクジラとも全く予期せぬ出逢いで、初めて見たときにはそれこそ何というクジラなのか、果たしてどういう行動をとるのかも知らず、驚きの連続でした。
例えば、マッコウを探してるとき初めて会った、小さめのクジラの群れ。10頭くらいいるでしょうか、相手も興味津々で、ボートに寄ってきます。私たちは、彼らがどんな姿をしてるのか、船上から目をこらします。うち1頭が、水面上に頭をぬっと出しました。その顔は・・・、「オバQじゃん!!(・・・古くてスミマセン)」。
kazuha.jpg丸いつるっとした頭(毛は3本なかったけど)、白くてぶ厚い唇、白い縁どりのなかにきょろっとした大きな眼。まるっきり、マンガのオバQです。
同乗してたOWA研究員の同意を得て、水中に入ってみます。海の中、彼らは少し離れてこちらをじーっと見つめています。眼が目立ち、白い唇は口角が上がって笑ってるよう。やがて、その笑顔のまま、彼らはすーっと青の深みに潜っていきました。
島に戻ってから、急いで図鑑を調べてみると、お!これだ、これだ!「ユメゴンドウ」という名前でした。「発見されてから1世紀も実在が確認されなかったため、夢のようなゴンドウの意味でつけられた」とか。まあ、そんな珍しいクジラに会えちゃったのね。小笠原では初確認だそうで、改めて、わくわくドキドキさせられます。
madara.jpgまた別のとき、イルカを見つけて海に入ると、その顔が、見慣れてるミナミハンドウともハシナガとも違っていて、ビックリ。いつものイルカたちはクチバシの付けねに分かれ目がはっきりしてるのに、このイルカはまるで、顔の先をペンチでぐーーーっと引っ張ってそのままになっちゃった、みたい。細長く尖ってて、分かれ目もありません。体には、ボツボツと白い傷のような汚れのようなものがたくさんついてます。相手のイルカも、水中で縦になって、不思議そうにこちらを観察してます。互いに、「変な顔!」って思ってるところでしょう。これも、戻ってから図鑑で調べると、「シワハイルカ」というイルカでした。「歯にシワがあるから」だそうで、さすがに歯まではわかりませんでしたが、とにかく、とても印象的な顔つきでした。
他の日の、遠くからジャンプしつつ近付いてくるイルカの大群。船首波に乗る姿はミナミハンドウよりもシャープで、ハシナガよりも大きい。クチバシの先は白く、日を浴びて胴の水玉模様がきらきら光ります。ジャンプの高さ、泳ぐ速さ、数の多さに圧倒され、見てるだけで楽しくなっちゃう彼らは、「マダライルカ」でした。
kobire.jpgまたは、丸々こんもりと盛り上がった背ビレが特徴的で、波を蹴立てるように泳ぐ、重量感のある「コビレゴンドウ」。
ユメゴンドウに似てるけど、頭の先が角張っていて、もっと神経質な「カズハゴンドウ」。
かと思うと、もっと細長くて、大きさのわりに華奢な印象の「オキゴンドウ」。
ミナミハンドウよりひと回りでかく、迫力もひとしおの「ハンドウイルカ」。
シャイで、決して船には寄らないけど、お腹をピンク色に染めながら、まとまってぴょんぴょん波の上をはね回る、きれいな「サラワクイルカ」。
白かったり赤かったり茶色がかったり、体色に個体差のある「アカボウクジラ」。
警戒してすぐ去ったくせに、また、改めて様子を見にやってきた「コブハクジラ」。
船の周りをまるでワープしてるように、こちらと思えばもうあちら、猛烈な速度で泳ぎ回る、アグレッシブな「シャチ」。
sarawaku.jpgどれもこれも、会うたびに大きな驚きと喜びがありました。図鑑や文献で姿や生態を確かめては、自分たちの心のノートに記録していきます。
外洋で遭遇するのは、クジライルカに限りません。「オサガメ」は、ボート上から見ていたMAKOTOに言わせれば、泳いで近付いた私の頭の先からフィンの先までと同じ大きさだったそうで、小笠原海域で写真に撮られたのは初めてでした。
「ダイオウイカ」の5メートルにもなる触腕や2メートル近い外套膜は、回収して、研究者に供してます。
いっぽう、「カンテンダコ」は、持ち上げようとするとぐずぐず崩れてしまいます。
何に会うか解らない外洋域、何に会っても不思議はない外洋域。さて、次はどんな珍しい生きものとの出逢いがあるか、まだまだ楽しみと謎の尽きない海域です。
posted by Tomoko at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 外洋域を彩る鯨類